絵を描き始める際、「どんな順番で描けばいいのかわからない」「いつも途中でバランスがおかしくなる」と悩んだ経験はありませんか。
実は、絵を描く順番をきちんと理解し実践することで、仕上がりや上達スピードが大きく変わってきます。
本記事では、初心者の方でも取り入れやすい具体的な手順や、デジタルイラストとアナログ画材それぞれで意識したいポイント、ジャンルごとの違い、つまずきやすい注意点まで分かりやすく解説します。
絵を描く順番をしっかり身につけることで、一歩ステップアップした作品作りを目指しましょう。
気になるコツや押さえるべきポイントを知りたい方は、ぜひ続きをチェックしてみてください。
絵を描く順番の具体的な手順と押さえるべきポイント

絵を描く際には手順ごとにポイントを押さえることで、完成度の高い仕上がりを目指せます。
初心者から経験者まで、この順番を意識することで効率良く、バランスの良い作品に仕上げることができます。
完成イメージの明確化
まず最初に、どんな絵にしたいのか完成図を頭の中でイメージします。
モチーフやテーマ、色の雰囲気などをなるべく具体的に思い描くことで、後の作業がスムーズに進みます。
参考資料を集めたり、イメージボードを作ったりするのもおすすめです。
構図とレイアウトの決定
イメージが固まったら、具体的にどんな構図にするかを決めます。
主役となるモチーフの位置や視線の誘導、余白のバランスなどを考慮しましょう。
- 主題と背景の配置を考える
- 全体のバランスを意識する
- 動きや奥行きを加味する
構図のバリエーションをいくつか描き出し、ベストなものを選ぶのも効果的です。
ラフスケッチの作成
決めた構図をもとに、大まかな形やパーツの位置をザックリ描きます。
この段階では細かさを気にせず、全体の印象をつかむことが大切です。
動きやポーズを確認しながら、必要なら何度も描き直しましょう。
下描きで全体バランスを調整
ラフスケッチを清書するように、細部を丁寧に描き込みながら形を整えていきます。
パーツごとの大きさや位置を細かく調整し、全体のバランスを確認します。
調整するポイント | 注意点 |
---|---|
顔や身体の比率 | 全体の統一感を崩さないようにする |
パース | 遠近感が自然かチェック |
小物の配置 | 不自然な位置にならないよう意識する |
違和感がないか何度も確認し、必要なら修正します。
線画の描写
下描きを参考に、きれいな線で仕上げます。
線の強弱やリズムを意識して、メリハリのある線を描きましょう。
丁寧に仕上げることで、完成度が格段にアップします。
着彩(色塗り)
色を塗る前にパレットを用意し、使いたい色を決めておくのがポイントです。
まずは背景や大きな部分から塗り始め、次に細かい部分やアクセントカラーを入れていきます。
色の重なりや調和を意識しながら、全体的な色のバランスを整えていきましょう。
影とハイライトの追加
色塗りが終わったら、光源の位置を意識しながら影やハイライトを入れます。
この段階で絵に立体感が生まれ、より魅力的な印象になります。
うまくなじむように、柔らかくぼかしたり線をぼやかすのも大切です。
仕上げの修正・完成確認
最後に全体を見渡して、気になる部分がないか細かい修正を行います。
色味や線の調整、汚れやはみ出しのチェックを丁寧に行いましょう。
サインや日付を入れることで、作品として仕上がります。
デジタルイラストとアナログ画材での描く順番の違い

絵を描く順番は、デジタルイラストとアナログ画材とで大きく異なります。
それぞれの特徴や工程ごとの違いを知ることで、よりスムーズに描き進められるようになります。
レイヤー機能の有無による手順の変化
デジタルイラストでは、レイヤー機能を活用できるため、作業の順番や描き直しがとても柔軟です。
たとえば、下描き、線画、色塗り、影やハイライトなどをそれぞれ別のレイヤーに分けて描くことが一般的です。
- 下描きを1枚目のレイヤーに描く
- 線画を新しいレイヤーに清書する
- さらに新しいレイヤーで色を塗る
- 最後に仕上げの効果用レイヤーを加える
一方、アナログ画材の場合はレイヤーが使えないため、慎重に順番を組み立てる必要があります。
ミスをしても簡単には修正できないため、鉛筆で下書きをしたあと、消しゴムで余計な線を消し、線画や色塗りへと順次進める手順になります。
デジタル特有の工程(修正・調整)の活用
デジタルイラストの大きな特徴は、描いた後でも修正や調整が気軽に行えることです。
具体的には、下記のような作業が頻繁に活用されます。
工程 | 活用例 |
---|---|
色調整 | 全体の明るさや色味を後から変更する |
不要部分の削除 | 消しゴムツールやマスクで簡単に部分修正 |
レイヤー合成 | パーツごとに分けたレイヤーを最終的に合成する |
変形 | 描いた後にパーツの大きさや位置を調整する |
このように、描写工程の順番や修正においてもデジタルならではのメリットがあります。
最初から完璧に描くことにこだわらず、後から直せる自由さを生かした順番で進められるのがポイントです。
アナログでの紙と画材の選び方
アナログで絵を描く場合は、使う紙と画材の特性によって描く順番にも気を配る必要があります。
たとえば、水彩紙の場合は水分を含む絵の具を使うため、下描きは薄く描き、ペン入れや着彩は紙がしっかり乾いてから行います。
色鉛筆やマーカーなども、紙の質や厚みが工程に影響します。
アナログ画材選びのポイントは以下の通りです。
- 仕上げたい表現に合った紙を選ぶ
- 使用する画材との相性を考える
- 乾燥やにじみに注意して工程の順番を調整する
また、アナログの場合、一度塗った色はなかなか修正しにくいので、計画的に下描きや色分けを進めることが大切です。
紙と画材の特徴を生かし、進め方を工夫することでより美しい仕上がりを目指せます。
ジャンル別の絵を描く順番の違い

絵を描くときは、ジャンルによって描き始める順番や手順が異なります。
それぞれのジャンルで特徴があるので、自分が描きたいテーマに合った手順を知ることが上達への近道です。
ここでは、人物イラスト、風景画、動物画のジャンル別に絵を描く一般的な順番について解説します。
人物イラストの場合
人物イラストを描く際は、まず全体のバランスとポーズを大まかに捉えることが大切です。
最初に構図や頭身を決め、アタリと言われるガイドラインやラフスケッチを描きます。
その後、顔や体の輪郭、服の形など大まかな線を重ね、徐々に詳細を加えていきます。
- アタリ(全体のバランスやポーズ)を描く
- 輪郭線・パーツ分けを入れる(顔・体・手足など)
- 服や髪型の細部を描き込む
- 線画を清書する
- 色塗り・影付け・仕上げ
下描きから仕上げまで、ステップを踏んで徐々に絵を完成させていきます。
風景画の場合
風景画の場合は、背景や空など広い部分から描き始めるのが基本です。
まず画面全体の構成を決め、遠くの空や山などの奥のほうから色や形をつけていきます。
次に地面や木々、建物などの中景、最後に手前の人物や動物、小物などを描き加えます。
順番 | 描く部分 |
---|---|
1 | 背景(空、山などの遠景) |
2 | 中景(建物、木、草原など) |
3 | 前景(手前のモチーフや小物) |
遠くから順に描くことで奥行きが生まれ、自然な仕上がりになります。
動物画の場合
動物画を描く場合は、まず動物全体のシルエットをざっくりと描いてから部分ごとに細かく描き込むのが一般的です。
「体の大きさ」「頭やしっぽの位置」を確認しながら、大きな形から小さな部分へと描き進めていきます。
被毛の流れや質感を表現する段階では、小さな筆使いや色味の工夫も大切になります。
また、目や鼻など表情部分の描きこみも重要なポイントです。
動物の動きや柔らかさを捉えられるように、雰囲気を意識して進めるのがおすすめです。
初心者が絵を描く順番で間違えやすい点

絵を描く際、初心者は順番を間違えてしまうことがよくあります。
間違った順番で描いてしまうと、バランスが取れず理想の仕上がりにならない場合があります。
絵をスムーズに上達させるためにも、よくあるミスを理解しておくことが大切です。
パーツから描き始めてしまうミス
初心者によくあるのが、いきなり目や口といった細かいパーツから描き始めてしまうパターンです。
これでは全体のバランスが取りにくく、仕上がったときに顔が大きすぎたり、手が小さくなってしまったりしがちです。
パーツから描くことでこんな問題が起こります。
- 全体像を把握しにくくなる
- 途中でバランスを修正しづらい
- 完成時に違和感が生じやすい
まずは大まかな形から描き始めることを習慣にしましょう。
全体の比率を無視して細部へ進む失敗
絵のバランスを考えずに、最初から細部ばかりに集中してしまうのもよくあるミスです。
この失敗例を以下の表にまとめます。
間違った進め方 | 起こりやすい失敗 |
---|---|
先に髪や服のディテールを描く | 体全体のバランスが崩れる |
顔のパーツを描き込みすぎる | 顔が大きくなりすぎる |
最初に全体の比率やアタリをしっかり取ることが、バランス良い絵を描くコツです。
ラフやアタリを飛ばして描き込むリスク
「面倒だから」とラフやアタリを飛ばしていきなり清書してしまうと、うまくまとまらない可能性が高くなります。
ラフやアタリは絵の設計図のような役割を果たします。
これを省略すると、形が歪んだり左右非対称になったりしやすいです。
しっかりラフやアタリを描くことで、何度も修正ができ、仕上がりも良くなります。
描く順番を工夫して効率よく上達するコツ

絵を上達させるためには、描き始める順番や工程の組み立て方がとても大切です。
効率よく成長するためには、漫然と線を引くのではなく、戦略的に順序立てて描くことを意識しましょう。
ここでは、描く順番を工夫することで効率的に上達できるポイントを紹介します。
全体から細部へ意識する意義
絵を描くときは、最初に全体のバランスを捉えることが大切です。
細部から描き始めてしまうと、全体の構図やバランスが崩れやすくなります。
まずは大まかな輪郭やポーズ、配置をざっくり捉えましょう。
そのあとに、少しずつパーツやディテールを加えていくことで、バランスの良い絵になります。
- 全体→パーツごと(頭・胴体・手足など)→顔や小物などの細部
- 色塗りもベースカラー→影→ハイライトの順に進めると分かりやすい
- 常に全体を俯瞰しながら進めることがコツ
この描き順を意識することで、自然な仕上がりになり、修正もしやすくなります。
下描き工程を繰り返す練習法
描く順番を意識して効果的に練習するためには、下描き工程を繰り返す方法がおすすめです。
下描きでは完成を急がず、構図や全体の流れを整えることに集中しましょう。
同じポーズや構図を何度も下描きしてみることで、バランス感覚や手の動きが身につきます。
ステップ | ポイント |
---|---|
① ラフスケッチ | 全体の大きさや配置をざっくり決める |
② パーツの配置調整 | 頭・胴体・手足などを簡単な形で描く |
③ 細部を加える | 顔や表情、服のしわなどを入れる |
このように段階を分けて描くことで、苦手な部分やバランスの崩れに早く気づけます。
できあがりを一度俯瞰して見直す習慣
絵の完成を目指す中で、一度できあがりを俯瞰して見直す習慣を取り入れることも重要です。
描いているとつい細部に意識が向かいがちですが、全体のまとまりや雰囲気を定期的にチェックしましょう。
見直すタイミングの一例を挙げます。
- ラフが終わった時点
- 下描きが完成した段階
- 色塗りの途中
- 最終仕上げの手前
このときは一度絵から目を離したり、遠くから眺めたり、左右反転で確認するのもおすすめです。
こうした客観的な見直しによって、全体のバランスや魅力がより高まります。
絵を描く順番を理解することで得られる上達実感

これまでにご紹介してきたポイントやテクニックを活かすためにも、絵を描く順番を理解することはとても大切です。
正しい順番で描き進めることで、線画が安定し、全体のバランスが保てるようになります。
また、自分の苦手な部分や改善点にも気付きやすくなり、効率よくスキルを高めることができます。
「どう描き始めればいいのかわからない」「途中でバランスが崩れてしまう」と感じていた方も、描く手順を一つずつ意識するだけで驚くほど練習の成果が見えてくるでしょう。
ぜひご自身のペースで取り組みながら、理想の絵を描けるようになっていく喜びを実感してみてください。