イラストを描くだけでなく、動かす表現にも挑戦してみたいと考えたことはありませんか。
しかし「どうやってイラストを動かすの?」「必要な手順やツールがわからない」と悩む方も多いはずです。
本記事では、イラストを動かすための具体的な方法や基本の流れ、おすすめのツール・アプリ、よくある課題の解決法まで、実践的な情報をわかりやすく解説します。
イラストを動かす表現に興味のある方が一歩踏み出すためのヒントがきっと見つかるはずです。
これから紹介する手順やテクニックを参考に、あなたも魅力的なアニメーション表現に挑戦してみませんか。
イラストを動かすための具体的な方法と手順

イラストを動かすには、静止画を工夫してアニメーションに変換する作業が必要です。
複数のイラストを連続表示したり、一枚絵を分解して動かしたりすることで、さまざまなアニメーションを作れます。
適切なソフトやレイヤー分けのコツを押さえれば、初心者でも気軽にイラストを動かせるようになります。
複数枚イラストを使ったアニメーション作成
アニメーションを作る基本の方法の一つが、異なるポーズや表情のイラストを何枚も用意してパラパラ漫画のようにつなげる手法です。
この方法では「コマ」ごとに一つのイラストを描き、時間の経過とともに画像を切り替えていきます。
作りたい動きやストーリーに合わせて必要な枚数を決め、順番通りに画像を並べていきましょう。
- 歩く、走るなどの動作は、最低でも3〜6枚ほどのイラストがあると自然に見えます。
- GIFアニメや動画ソフトに画像を取り込み、フレームごとに表示時間を設定するとより滑らかな動きになります。
- 短いループを作成してSNSアイコンやWeb用の素材に活用するのも人気です。
描き分けが大変な場合は、動きの必要な部分だけを変えて他は使いまわせるよう工夫すると制作効率が上がります。
一枚絵から動きを加えるテクニック
一枚のイラストでも動きを加えたアニメーションを作れます。
代表的なのがパーツごとに絵を分けて動かす「パペットアニメ」や「レイヤーアニメ」です。
体や髪の毛、目など動かしたい部分を別々のレイヤーにしておくと、位置や角度を変えて動きを表現できます。
あらかじめ分割して描いておくと作業がスムーズです。
PhotoshopやCLIP STUDIO PAINT、After Effectsなどのソフトなら「変形ツール」や「ワープ」などの機能を使って部分的に動かすことが可能です。
風になびく髪やゆっくり瞬く眼、光がまたたくエフェクトは一枚絵でも簡単に演出できます。
モーション付与の基本パターン
イラストを動かす際によく使われる基本の動きにはどんなものがあるかを紹介します。
パターン名 | 特徴と活用例 |
---|---|
スライド | キャラや背景を左右や上下に移動させる動き。スクロール動画や説明資料によく使われます。 |
拡大・縮小 | 物体やキャラを大きく、小さく見せる動き。注目させたい場面によく利用されます。 |
回転 | パーツや全体を回すモーション。歯車や目玉、腕振りの表現など幅広く使われます。 |
フェードイン・アウト | 透明度を徐々に変化させて出現・消失を表現。タイトルやアイキャッチの演出に便利です。 |
波打つ | 髪や布、液体が揺れる動きを再現。自然な表現に役立ちます。 |
これらを組み合わせることで、より自由自在な演出が可能になります。
キャラクターイラストのパーツ分解
キャラクターイラストに表情や動きを付けるためには、パーツごとに分解することが重要です。
主に分割するポイントとしては次のようなものが挙げられます。
- 頭部・体・手・足といった大まかなパーツ
- 顔(目・口・眉などの細かいパーツ)
- 服装やアクセサリー、髪の毛など動きやすい箇所
パーツを分解してレイヤー化すると、動かす部分だけを個別に編集でき、自然な動きを付けやすくなります。
Live2DやAfter Effectsといったアニメーションソフトも、このパーツ分解されたデータを前提にしています。
動きを付けるためのソフト選び
イラストに動きをつけるためのソフトにはさまざまな種類があります。
用途や目的、予算に応じて最適なものを選びましょう。
- CLIP STUDIO PAINTやAdobe Photoshopは、レイヤー管理や簡単なアニメ作成に適しています。
- After Effectsはプロが使う本格的な2Dアニメーション作成におすすめです。
- Live2Dはキャラクターのイラストをパーツ分解して立体的な動きを表現できます。
- 無料ソフトでは「Krita」や「Pencil2D」も人気です。
まずは試用版や無料体験で自分に合ったソフトを使ってみるのが良いでしょう。
画像の下準備とレイヤー分け
動かすイラストが決まったら、最初に「どこをどう動かすか」を考えて画像を準備します。
パーツごとにレイヤーを分けておくと、後で動かしたいときに便利です。
静止画を使う場合でも、必要な部分だけを別レイヤーで描写しておくことで、後の編集を簡単にできます。
特に表情パーツや手足は、ポーズやアクションごとに複数レイヤーを作っておくと幅が広がります。
レイヤー名を分かりやすくつけておくこともポイントです。
完成動画の出力手順
アニメーションや動きの演出ができたら、動画として書き出す作業に進みます。
多くのソフトでは主に「GIFアニメ」「MP4」などの形式で出力可能です。
出力設定ではループ回数やフレームレート、解像度などを調整しましょう。
用途に合わせて再生時間や画質、ファイルサイズなども考慮するのがおすすめです。
完成した動画はSNS投稿やサイトへの掲載、YouTubeでの公開など様々な場面で活用できます。
保存時はバックアップも忘れないようにしましょう。
イラストを動かすのに使える主要ツール

イラストを動かしたい場合、様々なツールが利用できます。
作りたいアニメーションや用途によって、最適なソフトを選ぶことがポイントです。
代表的なツールにはイラスト制作ソフトからアニメーション専用ソフトまであり、初心者から上級者まで幅広く対応しています。
CLIP STUDIO PAINT
CLIP STUDIO PAINTはイラスト制作ソフトとして有名ですが、アニメーション機能も搭載されています。
タイムライン上でコマごとに描いたり、簡単な動画を作ることも可能です。
直感的な操作でアニメーションを始めたいイラストレーターに人気があります。
また、作成したアニメーションは動画やGIFとして書き出せます。
特徴 | 内容 |
---|---|
対象 | イラスト初心者から中級者 |
主な用途 | 短いアニメ制作、GIF作成 |
対応OS | Windows、Mac、iPad |
Adobe After Effects
Adobe After Effectsは、本格的なモーショングラフィックスや映像編集ができるプロ向けツールです。
イラストをPSDやAEP形式で読み込み、様々なエフェクトやアニメーションを施すことができます。
高度なテクニックで複雑な動きや表現を加えたい場合に最適です。
市販テンプレートやプラグインも豊富で、プロの現場でも多く利用されています。
Live2D
Live2Dは、キャラクターを立体的かつ自然に動かせるのが特徴のソフトウェアです。
一枚絵のイラストデータをパーツごとに分け、動きをつけることで滑らかなモーショングラフィックスを実現します。
- 表情の変化
- 口パクや瞬きなど細かな動き
- ゲームや配信でのキャラクター利用
VTuberやゲーム業界でも広く利用されており、デフォルメキャラクターの動きを簡単に作りたい方にもおすすめです。
Spine
Spineは2Dキャラクターの骨組み(ボーン)を使ったアニメーション専用のツールです。
主にゲーム開発向けに設計されており、滑らかな動きを効率よく制作できます。
パーツごとに動きを割り当てられるので、同じイラストでも様々なアクションを簡単に作成できます。
Unityなどのゲームエンジンとの連携も強力で、実際のゲームにすぐ組み込めるのが魅力です。
Animated Drawings
Animated DrawingsはAI技術を使ってイラストを自動的に動かすオンラインツールです。
手描きのイラストをアップロードするだけで、すぐに基本的なアニメーションを付与できます。
専門知識がなくても簡単に利用できるのが特徴です。
簡単にイラストを動かしてみたい初心者や、ちょっとしたデモを作りたいときにとても便利です。
イラストを動かすおすすめアプリと機能

イラストを動かす方法は、これまで以上に手軽になっています。
スマートフォンのアプリや無料のオンラインツール、さらにはAI技術まで、さまざまな選択肢があるため、目的やスキルに合わせて最適な方法を選べます。
ここでは、それぞれの特徴やおすすめポイントを紹介します。
スマートフォン向けアプリ
スマートフォン用のアプリを使えば、パソコンを持っていなくても簡単にイラストを動かせます。
特に人気なのは「Pixaloop」や「Alight Motion」といったアニメーション専用のアプリです。
Pixaloopでは静止画の一部に動きの方向を指示して直感的にアニメーション化でき、Alight Motionでは複数のエフェクトやレイヤーを重ねて本格的な表現が可能です。
- 初心者でも扱いやすいインターフェイス
- 画像の一部だけを動かせるマスク機能が充実
- GIFや動画として書き出せる機能がある
ちょっとした時間に手元でアニメーションを作ってみたい人には特におすすめです。
無料で使えるオンラインツール
パソコンやタブレットで使える無料のオンラインツールも豊富です。
「Canva」や「Crello」などのサービスでは、画像やイラストをアップロードし、各種アニメーションを簡単に追加できます。
ツール名 | 主な機能 | 対応端末 |
---|---|---|
Canva | ドラッグ&ドロップによるアニメーション追加、テンプレート多数 | PC・スマホ |
Crello | 動画・GIF出力、豊富な素材やエフェクト | PC・スマホ |
オンラインツールの強みは、ソフトのインストール不要で、どこでも気軽に作業ができる点です。
複数のデバイスで作業を進めたい場合にも、とても使いやすいでしょう。
AIを活用したアニメーション生成
最近ではAIを使ったイラストのアニメーション生成が注目されています。
例えば「MoveNet」や「Ebsynth」といったAI技術を利用することで、静止画を自動解析し自然な動きを作り出すことができます。
手描きのイラストやキャラクターイラストも自然に動かせるため、アニメ制作のハードルが大幅に下がりました。
AIツールの特徴は、複雑な作業を自動化し、細かい動きの調整もサポートしてくれるところです。
作例を見て学びやすく、これからアニメーションを始めたい人や効率的に仕上げたいクリエイターにぴったりです。
イラストを動かす際によくある課題

イラストを動かそうとすると、思いどおりにキャラクターや背景を表現できず悩む方が多いです。
動きを作る際に「不自然に見える」「表情が固い」「背景が浮いてしまう」など、さまざまな課題が発生しやすいのが特徴です。
効果的にイラストを動かすためには、多角的な工夫が必要となります。
自然な動きの作り方
イラストを自然に動かすには、キャラクターの関節や体のバランスを意識した動きが大切です。
特に手足や髪、服の揺れといった細部の動きが自然さを生み出します。
動きを付けるポイントとしては、以下のような点に気を配ると完成度が高まります。
- 動作のメリハリ(静と動の強調)
- 重心移動や体重の流れを意識する
- 動きの軌道に緩急をつける
- パーツごとのディレイ(遅延)効果
- 違和感がないように変形をなめらかにする
上記のような要素を取り入れることで、リアルなアニメーションに近づけることができます。
表情のアニメーション化
キャラクターの魅力を引き出すためには、表情の変化を豊かに表現することが重要です。
目や口、眉の形状を微妙に調整するだけでも、印象は大きく変わります。
よく使われる表情アニメーションの具体的パーツを表にまとめました。
部位 | 主な変化方法 | 注意点 |
---|---|---|
目 | まばたき・細める・見開く | 動きが速すぎると違和感が出る |
口 | 開閉・笑顔・怒り・悲しみ | 自然な曲線で動かす |
眉 | 上下に動かす・形状を変化 | 感情に合わせて幅広くアレンジする |
表情のアニメーションは感情を的確に伝えられるため、細やかに調整することがポイントです。
背景との一体感
キャラクターだけが動いて背景が静止していると、画面全体がちぐはぐな印象になってしまいます。
背景とキャラクターの動きに一体感を持たせることで、より臨場感やリアリティを演出できます。
背景との一体感を高める工夫には、次のようなアイデアがあります。
- 背景の光や影の変化をキャラクターに連動させる
- カメラワーク(ズームやパンなど)を取り入れる
- 風や水など自然現象の動きを背景・キャラクター両方で表現する
- キャラクターが背景の物体に触れるアクションを加える
これらの工夫を通じて、より魅力的で説得力のある動くイラストを作ることができます。
イラストを動かす作業を効率化するコツ

イラストを動かす作業は、工夫次第でぐっと効率がアップします。
少しの手間を省くことで、作業時間を短縮できるだけでなく、クオリティの安定にもつながります。
ここでは作業がスムーズになる具体的なポイントを紹介します。
レイヤー管理のポイント
イラストを動かしやすくするには、レイヤーの分け方がとても大切です。
パーツごとにレイヤーを分けることで、必要な部分だけを個別に動かせます。
たとえば顔のパーツ、髪の毛、体、服など、細かくレイヤー分けしておくと後から編集する際も便利です。
パーツ名 | おすすめのレイヤー分け例 |
---|---|
顔 | 目・口・輪郭・頬チーク |
体 | 首・胴体・腕・手 |
髪の毛 | 前髪・後ろ髪・サイド・ハイライト |
特に動かす予定の部分は独立したレイヤーにしておきましょう。
テンプレート素材の活用
毎回一からパーツを作成するよりも、便利なテンプレート素材を活用することで時間を大幅に節約できます。
特定の動きを実現したいときは、既存のテンプレートや素材集からパーツを選んだりカスタマイズしたりすると効率的です。
- 手や目などよく動かすパーツは、複数パターンのテンプレートを用意しておく
- 無料・有料問わず、自分の作風にあったテンプレートを探す
- 時間のかかる動きはアクションやモーションプリセットを利用する
テンプレートは自作するだけでなく、他のクリエイターと共有したり、コミュニティで探したりするのもおすすめです。
ショートカットの利用
ソフトによってさまざまなショートカットがありますが、よく使う操作はショートカットを覚えておくと作業が格段に速くなります。
たとえば、「複製」「移動」「拡大縮小」などのショートカットを押さえておくと、パーツの配置や微調整が簡単になります。
ショートカット一覧表を手元に用意したり、自分にとって使いやすいキー設定にカスタマイズするのも便利です。
最初は覚えるのが大変に感じますが、慣れてくるとマウス操作よりずっと早くなります。
効率的にイラストを動かすため、日々の作業の中で少しずつショートカットを取り入れてみましょう。
イラストを動かす表現で広がる活用例

静止画のイラストに動きを加えることで、さまざまな目的や場面での表現がさらに豊かになります。
最近では、簡単なアニメーションツールやアプリを使って自作イラストを手軽に動かせるようになったため、SNSや教育現場、配信活動など幅広い分野でその活用が広がっています。
イラストを動かすことで、注目を集めやすくなったり、伝えたい内容がより分かりやすくなるといったメリットも多くあります。
SNS用動画コンテンツ
イラストを動かしてSNSに投稿する動画コンテンツは、多くの人の目を引く効果があります。
特にInstagramやTwitter、TikTokなど動画やアニメーションが主流のプラットフォームでは、静止画よりも動きのある投稿が拡散されやすい傾向にあります。
- スマートフォンで簡単に編集できるアプリが豊富
- 短いアニメーションやGIFを投稿可能
- アイキャッチやストーリー性を強調できる
動きのあるイラストは、イベント告知や新商品の紹介、日常の出来事のレポートなど、多岐にわたる活用が可能です。
また、フォロワーからのリアクションも良くなりやすく、ブランドや個人の印象付けにもつながります。
配信用キャラクターアバター
ライブ配信や動画配信用のキャラクターアバターに動くイラストを使う人が増えています。
特にVTuberやゲーム実況者は、オリジナルのイラストキャラクターをリアルタイムで動かしながら配信するスタイルが人気です。
利用方法 | メリット |
---|---|
フェイストラッキングでのリアルタイム動作 | 視聴者との一体感や臨場感が増す |
アニメーション演出を加えた自己紹介動画 | キャラクターの個性が伝わりやすい |
これにより、視聴者との距離がぐっと近づき、配信の雰囲気も和やかになります。
クリエイター自身が配信内で使うアバターを手作りするケースも多く、個性をアピールしたい人におすすめです。
学習教材やプレゼン資料
教育現場や職場のプレゼンテーションでも、イラストを動かす表現が活躍しています。
動きのあるイラストを入れることで、難しい内容や注意が必要なポイントを分かりやすく伝えたり、授業や説明の集中力をアップさせる効果が期待できます。
パワーポイントやGoogleスライドなどのツールで、イラスト画像にアニメーション効果を加える方法も人気です。
主な活用例を以下に挙げます。
- 理科や社会などの図解で動きを加えて解説
- 安全教育や注意喚起の場面でイラストを使ったアニメーション
- ビジネス説明資料で図やキャラクターの動きを取り入れて印象アップ
こうした演出は、受け手の興味を維持し、理解度や記憶にもプラスになります。
イラストを動かして表現をアップデートするために大切な考え方

イラストを動かすことで、静止画にはない多彩な表現力を手に入れることができます。
キャラクターや背景に動きを加えると、物語性や世界観がより伝わりやすくなり、見る人の印象にも残りやすいです。
重要なのは、ただイラストを動かすのではなく、作品のテーマや見せたい世界に合った動きを意識することです。
動きを取り入れる際は、どんな感情や出来事を表現したいのかをまず明確にしましょう。
例えば、キャラクターの表情や動き、風に揺れる髪や服、流れる水や光の動きなど、動かす部分を絞っても十分に印象的な演出が可能です。
また、動きをつけることで情報量が増えるため、見る人が直感的に内容を理解できるよう、全体のバランスや動きの速さにも配慮が必要です。
モーションが多すぎたり不自然な動きが交じると、かえって伝えたい内容がぼやけてしまうので注意しましょう。
これからイラストを動かして表現をアップデートしたい場合は、まずは動かしたい部分や表現したい雰囲気を書き出してみるのがおすすめです。
どんな技法でも「何を伝えたいか」という軸を持つことで、作品のクオリティが大きく向上します。
イラストを動かすことで誕生する新しい表現の楽しさを、ぜひ実感してみてください。