イラストを作成したり、利用したいと考える中で、「二次利用とは具体的に何を指すのか」「二次利用にはどんな注意点があるのか」と疑問を感じた経験はありませんか。
実際、二次利用にまつわる権利関係やルールは複雑で、誤った対応をするとトラブルや追加費用の発生につながることもあります。
この記事では、イラストの二次利用とは何かをわかりやすく解説し、知っておきたい具体的なケースや注意点、費用の目安まで詳しく紹介します。
正しく理解してイラストを安心して使うために、ぜひ続きをご覧ください。
二次利用とはイラストで何を指すのか徹底解説

イラストにおける二次利用とは、もともとの利用目的とは異なる使い方を指します。
たとえば、最初はウェブサイト用に制作されたイラストを、チラシやグッズなど別の用途で使用する場合が該当します。
このような場合、イラストの制作者や著作権者の許可が必要になることが多いため、取り扱いに注意が必要です。
また、二次利用は個人利用だけでなく、商業利用や公開範囲を広げるような場面でも問題となることがあります。
イラストの二次利用について正しく理解し、適切な手続きを踏むことが大切です。
二次利用に該当する具体的なケース
イラストの二次利用には、さまざまなパターンがあります。
主な具体例を以下に挙げます。
- 依頼したイラストをSNS以外の媒体で使用する
- 印刷物用に使ったイラストをウェブで公開する
- ホームページ用イラストを商品化しグッズ販売する
- トリミングや色調変更など加工して別用途で使用する
- 動画の中で静止画イラストを利用する
目的や媒体、加工の有無にかかわらず、元の契約や規約とは異なる場面で使うことは「二次利用」とみなされます。
イラストの二次利用で発生する権利関係
イラストの二次利用には著作権が深く関わっています。
著作権はイラストを創作した時点で自動的に作者に発生します。
権利の種類 | 内容 | イラストでの例 |
---|---|---|
著作権 | イラストの利用や複製をコントロールする権利 | 作品をSNS、印刷物などで再利用する際に関係 |
著作者人格権 | 作品の改変や公表方法を制御する権利 | トリミングや加工をする際に注意が必要 |
二次利用の際、これらの権利者から許諾を得る必要があります。
二次利用と著作権の違い
著作権はイラストを描いた人が持つ権利です。
一方、二次利用はその権利があるイラストを最初と異なる用途や場所で再び使用することです。
著作権はイラスト自体を保護する法律上の枠組みで、二次利用は実際の運用や使い方の場面で発生します。
許諾がないまま二次利用すると、著作権の侵害になる点もこの違いの重要な部分です。
二次利用許可が必要な主な場面
イラストの二次利用で許可が求められるケースには明確な例があります。
- はじめに依頼した用途以外に流用する場合
- 商用利用に切り替えて使うとき
- イラストを再編集・加工して新たな媒体に使う場合
- 配布用商品やグッズ化を考えている場合
- 展示会や他の広告・プロモーションで転用するとき
これらのケースでは、事前にイラスト制作者へ確認し、合意を得ることが必須となります。
二次利用が問題となるシチュエーション
無断で二次利用を行うと、法律面や信頼関係においてトラブルが発生します。
特に次のような状況では注意が必要です。
まず、商業目的で二次利用した場合、報酬や対価の問題が起こりやすいです。
また、デザインコンテストや他人のSNSなどで勝手に使うと、著作権侵害として法的措置を取られることもあります。
イラストの改変や切り貼りなども、作者の意図しない表現となるため問題が大きくなりやすいです。
意図せずトラブルに巻き込まれないためにも、二次利用前には必ず権利関係を確認しましょう。
二次利用と商用利用の関係性
二次利用と商用利用は似ているようで異なる概念です。
商用利用はイラストを金銭的利益のために使うことを指します。
たとえば商品パッケージや広告、グッズなどが例です。
一方、二次利用は営利・非営利を問わず、最初の利用目的から違う用途で使うこと全体を含みます。
つまり、「商用利用の二次使用」も考えられますし、「非営利活動への二次使用」もあり得ます。
どちらの場合もイラストの利用範囲や許諾条件を明確にし、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
イラストの二次利用で注意すべきポイント

イラストの二次利用には、著作権などの法律や契約に関するトラブルを防ぐために、様々な注意が必要です。
たとえば、イラストの利用目的や業務範囲がはっきりしていないと後々のトラブルの原因となることがあります。
以下のポイントに気をつけて正しくイラストを二次利用しましょう。
契約書や依頼書での取り決め事項
イラストを依頼して制作した場合、契約書や依頼書で二次利用についてきちんと取り決めをする必要があります。
たとえば、「商用利用が可能か」「SNSでの再使用はどうか」「デザインの改変は認められるか」といった具体的な内容を記載することが望ましいです。
書類には次のような項目を盛り込んでおくと、トラブル防止に役立ちます。
- イラストを使える範囲(例:自社のみ、第三者への再配布不可)
- 利用できる媒体(例:WEB、紙媒体、動画 等)
- 改変の可否やその範囲
- クレジット表記の要否
これらを事前に明確にして双方で合意しておくことが重要です。
素材サイトや無料イラスト利用時の留意点
素材サイトや無料のイラストを利用する場合でも、サイトごとに利用規約が異なるため、その内容をよく確認しなければなりません。
二次利用が許可されている場合と、特定の用途に限られている場合があるので注意が必要です。
利用形態 | 許可されている例 | 注意点 |
---|---|---|
商用利用 | 広告や販売用商品への使用 | 規約によっては不可の場合あり |
SNS利用 | InstagramやTwitterでの投稿 | クレジット表記の必要な場合もある |
改変 | 色の変更・一部切り抜き | 改変禁止の素材も多い |
必ず利用規約に目を通し、不明な点はサイト運営者に確認しましょう。
無断二次利用によるリスク
イラストを無断で二次利用した場合、著作権侵害として法的措置を取られる可能性があります。
また、イラスト制作者との信頼関係が損なわれるだけでなく、企業や自分自身の評判を大きく傷つけるリスクもあります。
無断利用による主なリスクは次の通りです。
- 著作権侵害による損害賠償や訴訟リスク
- 公開中止やコンテンツ削除の要請
- 社会的信用の低下や評判への悪影響
必ず許諾を得てから二次利用することを心がけましょう。
イラストの二次利用料の費用目安

イラストを二次利用する場合、最初の契約料とは別に追加で費用が発生することが多いです。
二次利用料の金額は依頼内容や用途、イラストレーターの知名度などさまざまな要因で異なります。
ここでは、一般的な相場や、よくあるケースごとの費用例について解説します。
一般的な二次利用料の相場
イラストの二次利用料は、初回制作費の30%〜100%程度が目安とされています。
たとえば、初回に5万円で依頼したイラストを別媒体や別用途で再度使用する場合、1万5千円〜5万円ほどの二次利用料が発生することになります。
ただし、実際の金額はイラストの規模や利用範囲、再利用の期間によって変わります。
初回制作費 | 二次利用料(相場) |
---|---|
10,000円 | 3,000円〜10,000円 |
30,000円 | 9,000円〜30,000円 |
50,000円 | 15,000円〜50,000円 |
イラストレーターによって料金体系が異なることもあるため、見積もりを事前に確認することが重要です。
完全譲渡の場合の費用例
イラストの著作権を完全に譲渡する場合、通常の二次利用とは別に、大きく費用が膨らみます。
著作権自体を買い取るかたちになるため、初回制作費の3倍から10倍程度の金額を目安とすることが多いです。
- 初回制作費:30,000円の場合、完全譲渡料は90,000円〜300,000円ほど
- 著作権譲渡込みでの契約は、必ず書面で取り決めることが大切です
- 完全譲渡にはイラストレーター側の強い同意が必要な場合があります
このように、完全譲渡の場合は権利関係も明確にし、後々のトラブルを避けましょう。
用途による金額差
イラストの二次利用料は、利用する用途や規模で大きく変動します。
例えば、個人のウェブサイトに使う場合と、企業の商品パッケージや広告で使う場合では金額が異なります。
また、印刷物なのかウェブなのか、国内利用か海外展開かでも費用に差が生じます。
用途 | 目安となる二次利用料 |
---|---|
個人ブログやSNS | 制作費の20〜50%程度 |
企業サイトや広報 | 制作費の50〜100%程度 |
商品パッケージ・広告 | 制作費の80〜150%程度 |
利用範囲が広くなるほど、二次利用料も高くなる傾向にあります。
予算や目的に合わせて、事前にイラストレーター側としっかり打ち合わせを行うことが重要です。
イラストの二次利用を依頼・交渉する手順

イラストの二次利用を検討する際には、正しい手順を踏んで依頼や交渉を行うことが大切です。
著作権や使用許諾の問題を回避するためには、それぞれのステップで注意深く確認を重ねましょう。
依頼先選びのポイント
イラストの二次利用を依頼する場合は、まず著作権者や管理者が誰かを確認することが重要です。
一次創作者、イラストレーター事務所、イラストを販売するプラットフォームなどが考えられます。
信頼できる相手か、過去の取引実績や口コミも調べておくと安心です。
- 著作権者に直接問い合わせできるかチェックする
- 仲介業者や第三者サービスの規約を確認する
- 希望する利用条件に柔軟に対応できるか見極める
依頼内容が明確であるほど、スムーズに話が進みやすくなります。
見積もりや契約の進め方
イラストの二次利用料は、使用範囲や目的によって大きく異なります。
事前に利用用途、媒体(ウェブサイト、パンフレット、動画など)、期間、掲載場所を具体的に説明しましょう。
項目 | 具体的な内容例 |
---|---|
利用用途 | 商用サイト、SNS投稿、印刷物配布など |
利用期間 | 1年間、無期限 など |
改変の有無 | 色変更あり、トリミングありなど |
条件に基づいて見積もりが提示されることが一般的です。
金額や利用範囲、支払い方法などが納得できたら、必ず書面やメールで合意内容を記録に残しましょう。
トラブル予防のために確認すべき点
二次利用時のトラブル防止には、権利関係や利用ルールを事前にしっかり確認することが大切です。
著作者のクレジット表記の有無、イラストの再編集・加工範囲、利用期限満了時の取り扱いなど、細かな点も漏れなく確認しましょう。
特に他社や第三者に再利用を許可できる範囲が限定されていることもあるので注意が必要です。
疑問点や不明点は必ず事前に質問し、口頭だけでなく必ず書面やデジタル記録で残しておくことで、将来的なトラブルも回避しやすくなります。
イラストの二次利用で失敗しないための総まとめ

これまでイラストの二次利用について注意点や基本的なルール、よくあるトラブル事例などを見てきました。
イラストは手軽に様々な場面で使える便利な素材ですが、著作権や利用規約を守らずに使ってしまうと大きなトラブルになりかねません。
二次利用の範囲や条件をしっかり確認し、不明点があればクリエイターやサービス運営元に必ず問い合わせるようにしましょう。
また、自分が作ったイラストの場合も、公開時に利用条件や注意事項を明記しておくことで、予期せぬトラブルを予防することができます。
ポイントを押さえた利用を心がけ、お互い気持ちよくイラストを活用できる環境を作っていきましょう。